2024年度山口県芸術文化振興奨励賞を受賞された宮本茂樹さんにインタビューしました。作品制作の原動力や郷土への思いなどについてお話を伺いました。
宮本茂樹さんのプロフィール
山口県下関市出身。1996年、能楽観世流大江家に内弟子入門、1998年に能「岩船」で初めてシテを演じる。8年の内弟子修行を終え、2005年に下関市民会館にて独立披露能を行い、大曲「石橋」を披く。以後、国内はもとより、アメリカ、イギリスなど海外での公演にも参加、能楽通訳ガイド企画「discover noh in Kyoto」にも携わるなど、精力的に活動を続けており、2023年には重要無形文化財「能楽」の保持者として総合認定を受けている。
受賞について
- Q:山口県芸術文化振興奨励賞を受賞されてのご感想をお聞かせください。
- A:私のようなものがこのような立派な賞をいただき、ただただ恐縮するのみです。また多くの方々にご支援いただいて今があることに、あらためて感謝の思いでいっぱいです。これからも微力ながら芸道に励んでいきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
創作活動について
- Q:宮本さんにとって、能楽の魅力とは何ですか?
- A:私にとっての魅力は緊張感です。その緊張がお客様にも伝わり舞台の演者とお客様が相互に緊張を高めていくことがあります。その時はすごい集中力も増してきてなんと言えない状態になることがあります。その時は素晴らしい舞台なのだろうと勝手に思っています。
あとは日常にはない空気感を感じること、昔と今とを比べて普遍なこと、変化したことなどを想像してみるのも楽しいです。
- Q:能楽親子教室の開催など、伝統文化の継承にも力を入れておられますが、そのような取組においてどのようなことを心掛けていらっしゃいますか。
- A:良くも悪くも印象に残ってもらうことです。正座でじっとする、大きな声を出す、自由に動きたいのに型の制限を受ける。少しの時間で良いので規律を持ってもらいたい。多少の我慢をしてもらいたい。そういうことは意識しております。
何かしら記憶に残ることで、大人になった時に思い出してくれる人がいて、再び古典の世界に触れてもらえるのではと思っています。
山口県について
- Q:京都を活動の拠点とされる中、下関市芸術文化祭に毎年参加されるなど、山口県における伝統文化の保存継承にも力を入れておられます。故郷への思いを教えてください。
- A:ある人に故郷があるというのは素晴らしいことですよと言われたことがあります。当時はあまり実感がなかったのですが、コロナ禍において長く会ってない同級生に再会するなどして、より故郷への思いが強くなりました。
下関住吉神社の和布刈神事、亀山神社の亀山能など故郷で続いてることは勿論、地元の伝統行事に何かしら貢献できたら嬉しく思います。
未来について
- Q:今後の目標や抱負を教えてください。
- A:古を再現する舞台を行いたいです。今の時代は音響、照明など色々と設備がありますが、昔はこんな感じだっただろうという雰囲気を再現できたらと思っています。
2024年は10月亀山翁渡し神事、11月下関市民会館、京都観世会、12月大江定期能など舞台があります。与えられた舞台をしっかりと勤めるよう努力してまいります。
能でも観てみようと思われた方は、大歓迎ですので是非お越しください。
- Q:最後に、山口県の若いアーティストに向けてアドバイスや応援のメッセージをお願いします。
- A:アーティストにとっては夢中になれることが幸せなのかと思います。ただひたすら没頭してください!
また何かしらのご縁で出会うことがありましたら、その時はどうぞよろしくお願いします。